アンコールはリビングで
「……泣くなよ。……凪が可愛すぎて、俺の心臓が死にそうだわ」

「……っ、みなと、のバカ……っ」

「おう。大バカ野郎でいい。……凪が俺のこと、そんなに独占したいって思ってくれるなんて……。嬉しすぎて、俺、どうにかなりそうだ」

俺は彼女を強く、自分の胸に引き寄せた。
短い髪が彼女の頬に触れ、彼女が俺の胸元にギュッとしがみついてくる。

「……SNSなんて、どうでもいい。世界中が俺をかっこいいって言っても、俺が一番かっこいいって思われたいのは、凪だけだから」

俺は彼女の髪に、額に、そして濡れた瞼に、壊れ物を扱うような、ひどく優しいキスを落とした。

「……俺は、凪だけのもんだ。……だから、そんなに泣くな」

ソファの上で彼女を抱きしめたまま、俺は彼女の背中を優しく撫で続けた。

彼女の小さな独占欲を、俺の持てるすべての愛で満たすように。

「誰にも見せたくない」という彼女の可愛い嫉妬は、俺にとって、これから始まる過酷な季節を前に貰った、最上のご褒美だった。
< 546 / 796 >

この作品をシェア

pagetop