アンコールはリビングで
3. 陽だまりの記憶

「……わかったよ、見せるから少し静かにしろって」

姉貴に急かされ、俺はしぶしぶスマホのフォルダを開いた。

そこにあるのは、着飾ったキメ顔の自撮りや、オシャレなカフェでの写真なんかじゃない。

俺がこの数日間でこっそり撮り溜めていた、『家のソファで無防備に笑っている凪』や、『キッチンで俺のためにご飯を作っている凪の後ろ姿』といった、何気ない日常の欠片たちだ。

「ほら、これ」

俺がスマホの画面を2人に向けると。

その写真を見た瞬間、兄と姉が、ハッと息を呑んだ。

「……湊。この子……」

「ん? なんだよ」

画面を見つめたまま固まった姉貴に、俺は不思議そうに首を傾げた。

兄貴も、食い入るように凪の写真を見つめている。

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