アンコールはリビングで
2. 真夜中の静寂と、鋭すぎる観察者たち

終演後。
疲労困憊の早瀬くんをホテルへ送り届け、ようやく自分の部屋に戻ったのは深夜を回ってからだった。

ネクタイを緩め、ベッドに倒れ込んだ俺は、習慣となっているSNSの反響チェックのためにスマホの画面を開く。

「#早瀬湊_福岡」のタグは、予想通り、圧倒的な熱狂の渦に包まれていた。

『今日の湊くん、MCの丁寧な言葉とパフォーマンスの色気がエグすぎて、息止まるかと思った』

『曲に入った瞬間のあの瞳! バチバチにカメラ抜かれた時、ファンを見る目が甘すぎてドーム全体が悲鳴で揺れてたよね』

ファンたちの熱狂的な書き込みをスクロールしていく中で、俺の指があるアカウントの投稿でピタリと止まった。

『ミカ』。
デビュー当時から彼の音楽を追いかけ続けている、驚くほど鋭い審美眼を持った古参ファンのようだ。

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