「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
魔王の運命

 少女が見つめる視線の先には黒く塗られた無機質で冷たい鉄格子があった。それはいつものことで、物心ついた頃から変わらない見飽きた光景だった。そんな鉄格子の前で私、ジェシカ・エンドレイクは今日も冷たい石の床に転がっていた。私が寝ているのは窓のない四角い空間。ここは屋敷の地下にある牢屋で、目の前の鉄格子以外すべてが石壁で囲まれており、数歩で壁という小さな部屋。そこにはベッドや毛布、机といったものは何も置かれていない。ただの空間……そんな場所に、私は薄着で転がされていた。

 ごろりと寝返りを打つと、体温でやっと温めた石の床が冷たくなる。

「はぁーー」

 大きく溜息をつきながら、そのままゴロゴロと牢屋の中を行ったり来たりしてみる。何もやることがないため、毎日この動作を何度もした。楽しいわけではないが、何せやることが何もない。仕方がないので私は耳を澄まして、屋敷の様子を伺った。すると屋敷で働く人たちの声が聞こえてきた。これは私の魔法による力。遠くの声がすぐ近くのように聞こえる能力とでもいうのだろうか?たぶん風の魔法を上手く使うことで出来ている魔法なのだと思う。無意識にその力を使いながらゆっくりと耳に魔力を集中させる。

 すると……。




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