シトラスの魔法が解けるまで
​会話はいつの間にか、修学旅行の思い出へと戻っていた。
「中指の青がとれない」
「あいぞめ」
あの日、指宿で一緒に体験した時間は、ちゃんと彼の中にも残っていた。
「どんまい」なんて言いながら、彼はあの時の私を思い出してくれているんだろうか。
​「せっかく捕まえたのに?」
「私が君を捕まえました」
「にげるわ」
​冗談めかしたやり取り。
画面越しに、彼が少しだけ笑っている顔が浮かぶ。
一ヶ月後に訪れる「終わり」なんて、この時の私には一ミリも見えていなかった。
ただ、シトラスの香りがしないこの部屋で、光る画面の中の彼と繋がっている。
その事実だけで、私の世界は藍色から鮮やかな春の色へと塗り替えられていった。
​『「にげるわ」なんて言わせない。
15分かけて紡いだ言葉は、確実に彼の元へ届いた。
PV520。
読者のみんな、見てて。
これが私の、本気の第一歩。
逃げる彼を追いかけて、私はもっと広い空へと飛び出していくんだ。』
< 127 / 127 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

幼なじみの偏差値60の不良くんは今日も柔軟剤の匂いがする

総文字数/2,295

恋愛(キケン・ダーク)3ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
小学校のときは当たり前のように そばにいてくれた君に贈る物語。 初めて描く不良もの! 読んでいただけたら嬉しいです! ☆髙原 冴 まじめ。 ふつーに頭いい。 偏差値63! 極度の方向音痴。   ☆真柴楓吏(ふうり) 不良。 まさかの偏差値60! めちゃ柔軟剤のにおいする。      

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop