バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた

第18話 並んでいる影

二人での配信が、いつの間にか当たり前になっていた。

 特別なことをしなくても、無理に盛り上げなくても、
 ただ話しているだけで時間が過ぎていく。

 それを「楽しい」と感じている自分がいることに、
 僕は少しだけ安堵していた。

 けれど、その感覚は、
 すべての人と共有できるものではなかった。

 配信の表では、何も起きていない。
 少なくとも、そう見えていた。

 コメント欄は穏やかで、
 直接的な言葉は、どこにも書かれていない。

 でも――
 匿名で送れる質問箱だけは、違った。

 最初は、気づかなかった。
 僕のところに届くものは、ほとんどが普通の質問か、
 応援とも取れる短い言葉ばかりだったから。

 だから、
 「最近ちょっと変な質問が来てさ」
 そう何気なく話題にしたとき、
 ぱちぇが一瞬だけ、言葉に詰まったことの意味を、
 その時は理解できなかった。

 沈黙は、ほんの数秒だった。

 けれど、
 その短さが逆に、重く感じられた。
通話越しなのに、空気が張りつく。

「……〇〇は、どんなの来た?」

 慎重に選ばれた声だった。
< 55 / 100 >

この作品をシェア

pagetop