バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた
第21話 触れられない距離
姿を知ってから、会いたい気持ちは、はっきりと形を持つようになった。
写真の中のぱちぇは、思っていたよりもずっと柔らかい顔をしていて。
画面越しに見てきた声や空気が、現実の輪郭を帯びた瞬間だった。
互いの住所も、もう知っている。
でも、それは「近づける」という意味じゃなかった。
遠距離。
簡単に会える距離じゃない。
話している時間は、楽しい。
笑って、安心して、幸せだと思える。
それでも――
通話を切ったあと、胸の奥に残るのは、触れられない寂しさだった。
声じゃ足りない。
言葉じゃ足りない。
ただ隣に座るだけでいいのに、と思ってしまう自分が、少し怖かった。
その夜も、通話は静かに続いていた。
特別な話題はなくて、他愛のないやり取り。
でも、僕の中で沈殿していたものが、ふと浮かび上がる。
「ね、ぱちぇたん」
自分でも分かるくらい、声が弱かった。
「……僕さ」
一瞬、言葉を探す。
「昔の話、してもいい?」
向こうで、少しだけ間があった。
「うん。
聞くよ」
優しい声だった。
だから、話してしまった。
写真の中のぱちぇは、思っていたよりもずっと柔らかい顔をしていて。
画面越しに見てきた声や空気が、現実の輪郭を帯びた瞬間だった。
互いの住所も、もう知っている。
でも、それは「近づける」という意味じゃなかった。
遠距離。
簡単に会える距離じゃない。
話している時間は、楽しい。
笑って、安心して、幸せだと思える。
それでも――
通話を切ったあと、胸の奥に残るのは、触れられない寂しさだった。
声じゃ足りない。
言葉じゃ足りない。
ただ隣に座るだけでいいのに、と思ってしまう自分が、少し怖かった。
その夜も、通話は静かに続いていた。
特別な話題はなくて、他愛のないやり取り。
でも、僕の中で沈殿していたものが、ふと浮かび上がる。
「ね、ぱちぇたん」
自分でも分かるくらい、声が弱かった。
「……僕さ」
一瞬、言葉を探す。
「昔の話、してもいい?」
向こうで、少しだけ間があった。
「うん。
聞くよ」
優しい声だった。
だから、話してしまった。