あの夏、キミが描いた青空
彼の秘密
一週間後、キャンプの日が来た。
土砂降りの雨なのにキャンプ。
とても気分が上がらなかった。
「はぁ…」
バスの中、一番後ろであたしの隣は大野だ。
さっきから女子が後ろを向いて大野に話しかけている。
あたしは空気のように扱われて気まずい。
「琥珀くん、向こう着いたら一緒に行動しようよ!」
いつもみたいに女子から誘われている大野。
だけど大野は、いつも誘いに乗らない。
断られても誘い続ける女子もすごいと思う。
せっかく女子が誘ってくれてるのに。
でも最終的に決めるのは大野だから、あたしは何とも言えないんだけどね。
「ごめん、無理。俺はコイツといたいから」
「えっ?」
大野があたしの手を握って言った。
「あ、そうなんだ…。ごめんね」
女子たちはあたしを睨みつけながら、大野には優しい口調でそう言った。
それよりも、大野があたしと一緒にいたいだなんて…。
おかしい。
本当に気が狂いそうだ。
それからも女子たちは、懲りずに大野を誘い続ける。
けど、やっぱり大野は誘いには乗らなかった。
「ねぇ、高木さんも困るよね?別に琥珀くんと行動したいわけじゃないんでしょ?」
そう聞かれると返事に困る。
あたしは別にどちらでもいい。
けれど、大野があたしと行動したいと言ってくれているなら、その気持ちに応えてあげたい気持ちもある。
でも実際は女子たちの視線が痛くて言えないんだよね。
どうしようかと悩むあたしを見て、大野が「俺は絶対高木と行動する。言っちゃえば、お前らに興味はない」と冷たく言い放った。
その言葉に泣く女子もいた。
みんな諦めたかのように前を向く。
「向こうに着いたら俺から離れるな」
そう言って繋いだ手に力を込める大野。
なんかあたし、今大野にドキドキしてる気がする。
「いやいや、大丈夫大丈夫」
そうつぶやいて首を横に振るあたしを、大野が不思議そうに見つめていた。