好きです、先輩。別れてください
だってさ!やっと楓茉先輩に想いを伝える覚悟を決めたのに、先輩、映画の撮影とかで忙しいんだもん。
お互いに予定が被ったりして全然会えない。
「はぁ〜」
「…桜庭さんさ、まだ先輩と話せてないの?」
「えっ。…あ〜」
この間やった席替えのくじ引きで、窓側の端っこ、いちばん後ろになったの。
───猫葉くんのお隣さんに。
「実はね、まだ話せてないんだよね……」
「先輩、忙しそうだもんな」
告白を断った私を、猫葉くんは避けるでもなく普通に友だちと同じように接してくれていて、私はすごく助かってる。
だって、私が逆の立場だったら絶対にできないもん。
「その曖昧な状態がいちばんやりにくいだろうな」
「うん……ってごめん!猫葉くんにこの話するの、無神経だったよね」
「俺が話振ったんだし気にしないで。……友だちとして、相談乗るから」
「…ありがとう」
"友だちとして"って言った一瞬だけ、猫葉くんが寂しそうにしたのは気づかないふりをした。
だって、私に気づかれないようにするその気遣いが、猫葉くんの優しさだって知ってるから。