想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜
 なんてことを言う凱斗さんに、思わず胸が高鳴る。

 あれ、急に息が苦しい。なにこれ?

「どうした蒼羽。ぼーっとしてたら先に肉仕上がっちゃうぞ」
「あ、すみません!」

 我に返って、胸に手を当てる。いつもより早いスピードで刻む鼓動を感じる。

「ひょっとして体調悪い?」
「いえ、たぶんそういうのでは……」

 気分が悪いとか、頭が痛いとかそういうのはないから、病気のたぐいじゃない。

「一日であちこち回ったから疲れさせたかな」

 心配そうな顔の凱斗さんに覗き込まれ、首を振る。

「一瞬変な気がしたんですけど、たぶん気のせいです。続きやりますね」

 微笑んで見せると、ようやく安心したのか凱斗さんはフライパンに視線を戻した。


 出来上がった料理を並べると、普段に比べてずいぶん華やかな食卓になった。

「このお肉柔らかくて美味しい! 焼き加減もばっちりです」
「蒼羽のサラダもうまいよ。見た目も綺麗だし、優しい味だ」
「このお皿が引き立ててくれてるんですよ。やっぱりシリーズで揃えて正解でしたね」

< 101 / 173 >

この作品をシェア

pagetop