想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜
 もう少し三崎さんと話がしてみたい気がして、食事に誘おうとしたが、蓮見チーフのことが気になるからと断られてしまった。

 それに、一緒にステイ先のホテルまで帰ることも。

 「途中店に寄るから」と言っていたが、きっとそれが理由じゃないだろう。

 同行のクルーに俺と一緒にいるところを見られたら、憶測で面白おかしく噂を流される。
 そのことを警戒したんだと思う。俺だって、彼女に迷惑をかけるのは本意ではない。

 おとなしく引き下がったが、もう一つ彼女に聞いてみたいことがあった。

 一日一緒に過ごした後でも、君はまだ、俺のことを苦手だと思う?


「君はまだ……いや、なんでもない」


 彼女は気を遣って、きっと本音は言わないだろう。
 呼び止めてはみたものの、声に出す勇気までは湧いてこなかった。


「それじゃ」

 片手を上げ、三崎さんとは逆の方向へ歩き出す。

 少し歩いて振り返ると、彼女はこちらを振り返ることなく、まっすぐ歩いて行った。

 そんな彼女の背中を、俺はしばらく眺めていた。

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