青い青い空
そう言って彼は、一つの封筒を腕に軽く叩きつけるように差し出してくる。
「君もこれを読むこと。読んで、きちんと伊代クンと話をすること。彼女が何の理由もなしに行動する人間でないことは、君が一番よく知っているだろう」
口元には笑みを浮かべながら。
瞳には、明かな敵対心を滲ませながら。
「残念ながら僕には話してはくれなかった。けど、君になら話すんじゃないかな。非常に不本意だけど」
「先生にお話にならなかったことを、俺に話すとは到底思えませんが」
「……ねえ君さ、何年伊代クンのこと見てきたの。一番近くで見てきたんじゃないの」
「見てきたから、知ってるんですよ」
“――どうして私は、選考の手伝いに選ばれたのでしょうか”
あの時の震えた声が、窓越しに映った不安そうな表情が、それでも真に迫った瞳が、今でも脳裏に焼き付いて離れない。
けれど、そんな彼女からあの時逃げる選択肢をとったことを、後悔しているわけじゃない。