青い青い空
「そもそもな、誰彼構わず甘やかしてるつもりはねえぞ。俺も、勿論一石も。仕事しねえ奴には拳骨を落とすし、クソ生意気な奴には拳骨も落とす」
(取り敢えず、拳骨は落とされないようにしないと)
「お前みたいな奴は、普通に甘やかしてもそれを受け取りゃしねえ。頑固だからな」
「そんなことないですよ。いつも感謝してます」
「でもな青崎。頑固すぎるのはよくない。たまには素直に受け取れ。頼れ。周りの奴らがどう思おうと、お前自身のためにな」
「……実体験ですか?」
空になったグラスを上げ「ウイスキー」とバーテンダーに頼んだ彼は、束の間を空けて「そうだ」と、今度ははっきり答えた。
「こうして、たまに話を聞いてもらえるだけで十分ですよ。気付いてくださって、ありがとうございます」
「……あんな顔で墓石見てりゃ誰だって心配くらいすらあ」
その大きな独り言には、聞こえなかった振りを決め込むことにした。
「何も、クソ真面目が悪いって言ってるんじゃない」
「わかってますよ」
「クソ真面目になることだって、生きていく上では必要な時があるだろう」
「あら。野田さんにもそんな時があるんですね?」
「たまには力抜け。頑張るって決めたなら尚更」
――俺が言いたいのは、それだけ。
「お前、俺の知らないところでぶっ倒れでもしたら、会社中をまた肩車で走り回ってやるからな」
「ぜ、絶対、死んでも倒れません」
どうやら、されたら一番嫌なことをよく知っているらしい。