青い青い空
「一石さんすみません遅くなりました。確認を――」
勢いよく入ってきた部署の先輩は、私の姿を確認するなり少し不機嫌そうに顔を歪めた。
けれど、今はそんなことどうでもいい。
「わかった。すぐ行く」
すっかりぐっすり眠っていると思っていた一石が、さっさと立ち上がって身支度をし始めたからだ。
少し不愉快そうに眉間に皺を寄せた先輩は、「じゃあ先行ってます」とさっさと部屋を出て行ったので、その後ろ姿には取り敢えずお疲れ様ですと声を掛けておいた。
(き、聞こえてないよね。寝てたし。ぴくりともしてなかったし。一石さん寝付きも寝起きもいいし……)
バクバクと鳴る心臓に気付かない振りをしながら息を潜めた。
彼はまだ寝惚けているのか、一度大きく背伸びをしたが、半分心あらずな表情で緩めていたネクタイを締めている。
取り敢えず、そんな彼に背を向けるように立ってブラインドを下げることにした。それはもう、ゆっくり時間を掛けながら。
「青崎」
「はははいっ」
精一杯した返事は、これでもかと言うほど吃る。恥ずかしさで死にそうだし、一体何を言われるのか緊張して、体が固まって振り返られない。