青い青い空
少し照れくさいのか、「くそ。語彙力……」と頭を抱えた後、新堂は一気にコーヒーの缶を呷った。
「俺が部署に配属になった頃のこと、覚えてますか」
一年前、ちょうど今回のイベントの主役でもある由良野の担当作が大ヒットした。当時は『このルーキー持ってるぞー!』と部署全体が賑やかだったが、あっと言う間に目が回るほど忙しくなり、後輩の指導がままならなくなった。
そのルーキーこそが彼、新堂 龍淵であり、一番の被害者と言っても過言ではない。
「皆さん忙しすぎて、俺の指導なんか放置でした。でも青崎さんだけが、いろいろ教えてくれました」
「それは、それが私の仕事だったからで」
「青崎さんにはそうでも、俺にはそうじゃなかった。来たばっかりの頃なんかは本当に心細かったですもん。でも青崎さんはいつも笑顔で、いつも俺のこと気遣ってくれました」
「そ、それについても、それが私の仕事だから」
「青崎さんコーヒー苦手ですよね?」
「え?」
「あと、しれっと人の仕事奪って時間内に終わらなくて、結構な頻度でサービス残業してるでしょ」
(なっ、何故それを……)
「気が付いたら目で追ってたから知ってますよ。隠せてると思ってるところがまたかわいいですけど」
「……!?」