青い青い空
page.33 煙草の煙、目映い星空
全力の笑顔で拒否をした右京と諸々の手続きを済ませ、野田は驚くほどあっと言う間に退院した。
「だから、あれほど食事には気を付けてくださいねって言ったんですよ。病院の先生も言ってましたよ」
「いやー、海外に行ってたら和食じゃ物足りなくなっちまって」
「言い訳無用。これから毎日、お昼は社食の日替わりにしてください。だからと、朝夕をこってり系にしようものなら許しませんからね」
「わ、わかったわかった」
しかし、今日一日は安静にしているようにということで、私たちはそのまま野田の家に上がっていた。
「青崎さん、娘と言うより母親になってませんか」
「どこがですか」
「割烹着に、包丁とネギ持ってる辺りが」
「だって割烹着しかなかったし。娘でも持ちますよ、ネギと包丁くらい」
「よく似合ってるぞー青崎」
「にやけ顔で言われても嬉しくありません」
すっかり元気そうな野田に、ようやく安堵のため息を落とす。
「スーパーに寄ってくれって、こういうことだったんですね」
ゴミ袋から溢れるピザの箱やカップ麺の空。酒類しか入っていない野田家の冷蔵庫を開けた右京は、呆れのため息を落としていた。
「お手伝いします」
「こっちは大丈夫ですよ。できれば、野田さんを見ておいてもらえると」
初めは、このまま家に送り届けたら私たちもイベント会場に戻るつもりだった。にもかかわらず、何故こうしてトントンと包丁を動かしているかというと……。