青い青い空

「面倒な奴に目を付けられたね」なんて他人事に言う彼は、やはりあの現場をしっかりと目撃していたらしい。


「すみませんでした。仕事中でしたのに」

「過ぎたことを謝る必要はない。ただ、これからは少し用心しておいた方がいいとは思うけど」


 それを予め用意していた台車に乗せて、再び整理の作業に戻る。


「隠してるつもりだろうけど、顔に出やすいから青崎さん」

「へ?」

「すごかったよ。真っ赤だった顔が、オレを見た瞬間真っ青に変わったから」

「そ、それは……」

「こいつ、全然先輩敬うつもりねえなと思った」

「たっ、大変申し訳ありませんでした……!」


 全力で頭を下げたところで、同じ部署の先輩が作業部屋に顔を出した。切りがいいところで手を貸して欲しい案件があると、由良野を要望のようだ。

「後で行く」と軽く返事をしたあと、ぐうと一つ伸びをする。


「終わりの目処も付いたし、もう自分の仕事に戻っていいよ」

「あ。は、はい」

「くれぐれもサービス残業はしないように。君がしようものなら、一石さんまで巻き添えになるんだからな」

「こ、心得ました」


「なんだその返事は」と、呆れながらも少しだけ彼が笑った顔を、会社に勤めて初めて見たかもしれない。

 貴重なものが見られたものの、逆を言えば空から雪や槍が降ってくるかもしれない事象だ。素直に喜んでいいものか、本気で悩むほどの案件だった。


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