青い青い空

「うちは花壇しか手入れしてないから。どこの植木鉢かもちょっとわからないわね」


 席に案内してくれた後、かおんは申し訳なさそうにそう答えた。


「怖い目に遭わせたわね。伊代ちゃん」

「て、店長のせいじゃありませんよ」

「ビル中に事態を周知させて、安全対策を何卒お願い致します」

「それについては、こちらできちんとさせていただきます。だから、伊代ちゃんも安心してね」


「ゆっくりしていって? 今日はあたしの奢りよ」と、店長は注文を聞いてからキッチンの奥へと入っていった。

 その背中を見送り終わって視線を戻すと、一石とぱちり目が合う。


「本当に、怪我はないか」

「全くありませんよ。ご心配ありがとうございます」


 でも一歩間違えたら、当たっていたのは一石の方かもしれない。

 ふと窓の外を見てみると、蔓の伸びた朝顔がカーテンになっていて、太陽の光がきらきらと輝いていた。


(……一石さんが、無事でよかった)


 そう思うと、今更になって恐怖が襲い掛かる。自分以外の人間が傷付くことが、震えるほど怖い。


「月曜日、無理して来なくていいからな」

「え?」

「火曜日も水曜日も。お前の気持ちが落ち着くまで、ゆっくりしてろ」

「流石に過保護すぎますよ。有り難いですけど」


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