青い青い空
page.50 知らぬ過去、隠された真実
翌日の朝食と宵の昼食の下準備をしていると、玄関のドアの開く音がする。しばらくすると、ダイニングに広夜が顔を出した。
「あ。おかえりなさい、広夜さん」
「宵は」
返事もないまますぐに息子の心配かと、でも大切な息子だから心配にもなるかと。一瞬のうちに浮き沈みした気持ちだけは表情へ出さないようにしながら、「部屋に。反省文を書くからと」と伝えると、最後まで聞かないまま彼は宵の部屋へと入っていった。
(広夜さん、仕事忙しいんだろうな)
宵はさておき、広夜が自分のことを苦手だということはわかっていたため、なるべく家でも顔を合わさないようにしていたのだが。久々に見たその人の顔は、私の記憶からは随分と歳を取っていて、少し窶れているように見えた。
だからといって弁当を用意しても結局は食べられないまま放置されるので、何か体によさそうなサプリメントでもないだろうかとスマホで検索していると、ガチャリと音を立てて宵の部屋から広夜が出てくる。
「あ。夕食、もう摂られましたか?」
「まだですが」
「じゃあ、お風呂に入られている間にご準備し」
「いえ。結構です」
「き、今日は、最初から最後まで宵くんが作ってくれたので、美味しいと思いますよ!」
何とかそう伝えると、大きなため息をつきながら広夜は「わかりました。ですが自分で支度できるので何もしないでください」と言われたので、萎みそうになる心を堪えて、「わかりました」と精一杯の笑顔で返した。