青い青い空
page.51 家族を嫌い、家族を欲す
「初めてお会いした時にはすでに末期の状態でした」
「そんなの一言も。だって、交通事故に遭ったから母は……」
「遭った時にはすでに、事切れていたそうです」
そのことを彼がずっと黙っていたのは、母自身がそのことを実の娘にだけはずっと隠していたから。
「けれど、そろそろ本当のことを打ち明けてもいいのではないかなと。此度の一件を経てそう思った次第です」
母が亡くなった後ずっと塞ぎ込んでいた私に、本当のことを話すのはまだ早いと判断したのだろう。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません」
「これは何も、あなたに限った話ではありません。お伝えしたとおり僕も、そして宵もまた、欠陥人間だったのですから」
その言葉の意図がわからず首を傾げていた私に、再度広夜は申し訳なさそうに頭を下げた。
「本当に、腑甲斐無い話で情けない限りなのですが、結衣子さんがこの世を去ってしまってからというもの、人の作った食事を食べることができなくなってしまったんです」
初めは、母を亡くした精神的なものだと思っていたが、そうではなかった。母が癒やしてくれていた傷口が、再び開いてしまったのだと気が付いたのは、何十回と嘔吐を繰り返した時だったという。