青い青い空

page.XX 九色の神、命の代償




〝九色の虹の根元には神様が眠っていた〟



 長きに渡り、その言い伝えを正しく伝える者は一握りもいなくなった。

 そしてまた、愚かな人間が命を投げた。


 龍神は人間に問いかけた。『望みは何か』と。

 けれど、答えはいつも決まっていた。


 己の命を何とも思っていない者。またはそう思考を支配された者は『村の繁栄』を。支配が解けた者は『蘇り』を。己がかわいい者は『欲にまみれた願い』を。

 そして、死に逝く人間は答えた。『助けてくれ』と。


 だから龍の神たちは声を揃えた。『死んだ人間は助けられない』と。

 人間はさらに答えた。『どうしても生き返らせたい人がいる』と。

 龍の神たちは再び答えた。『死んだ人間は蘇らない』と。


 人間は諦めずに声を張り上げた。

 『彼女の願いを叶えなければならない。彼女には笑っていて欲しい』と。


 それでも龍の神たちは、無感情のままに答えた。

 『それが、その者の持つ運命だったのだ』と。



 人間は声を荒げた。


『彼女が一体何をした! それが運命? 彼女から色を奪っておいて、今度は命もだと? それが世界の――神のすることか?! もしそれが許されるのならば、彼女はこの世界に殺されたんだ。お前らのような怠惰の神に殺されたんだ! 彼女の運命に見向きもしないお前らに!』


 まるで、今まさに命の灯火が消えようとしているのが嘘のように。


< 447 / 647 >

この作品をシェア

pagetop