青い青い空
午後一番に了安の会見が始まり、担当である新堂の隣を確保してもらった私は一人、この輝かしい一瞬一瞬を目に焼き付ける。
『この度は、このように素晴らしい機会をいただき、非常に光栄で――』
思い起こされる、数年前の記憶。
一石の誘いを受けて始めた最初の仕事が、編集者であった彼の補助。その彼の担当だったのが、今壇上でキラキラと輝いている了安だった。
「正直、投げ出したいって思ったことは何度もありました。仕事自体大変だし、そもそも先生自体が自由人だし」
「そうですね」
同じ道を辿ってきたからこそ、痛いほど気持ちがよくわかる。ずぶの素人で人見知りだった私にとっては、特定の誰かと機知に富んだ会話や打ち合わせなど、できるはずもなかった。
それでも続けようと思えたのは、沢山フォローしてくれた一石のおかげであり、そして一番は、了安の人柄に助けられていたからだ。
どこからが冗談でどこからが本気なのか、はっきりしたものを相手に掴ませないのは、言葉を巧みに操る小説家故か。それに振り回されることも数え切れないほどあるけれど。
「でも、頑張ってよかったって、今は思います。これで、もっといろんな人に先生の素晴らしい作品を見ていただけるので」
「はい。私も、そう思います」
この人の担当をさせていただけてよかった。そして、この人の担当ができたことを今、とても誇りに思う。