青い青い空
彼は、理由を聞かなかった。それがすごく有り難かった。この思いを、どう言葉にすればいいか、今の私には難しすぎたから。
「お相手が由良野さんでないことを祈ります」
「それだけはないでしょう。向こうこそ嫌がりますよ」
「あはは。面倒くさいですもんね、あの人」
「でも、相談役を買って出てくださるくらいには、お優しい方だということがわかりました」
「……もしかしてこの雲、雪も降りますかね?」
「槍だったりして」
「うわーありそー」と二人で窓を覗いていると、後頭部にパコリと何かが当たった。続けて隣の新堂からは、バコンッと大きな音が鳴る。
振り返ると、リハーサル台本を丸めた由良野が、腕を組んで立っていた。
「お前らな、新旧の担当者がこんなところで暢気に空見てる場合か。特に新堂。お前がいないから、会見が終わってもずーっと了安先生記者たちに捕まってんだぞ」
「あー。いいんじゃないですかね。というか自業自得だと思うし」
耳をほじりながら素っ気なく返す新堂に、由良野は何故か「あーまあな」と苦笑い。私が席を外している間に何かがあったのか、聞いてみても二人は軽く濁すだけだった。