青い青い空



 神の力を得た人間の、空を千切った数が五十を越えた頃。


『早く人間の願いを叶えて、また元に戻りましょう』


 元の平穏を望む紫電の龍が、今度は千切った世界に介入した。


 雷の如く世界に落ちた紫龍は、無遠慮に彼女に近付いた。委員会の後輩として。

 彼女はよく笑う人だった。なら、願いはもう叶えられているじゃないか。あっさりそう思った。


 そして彼女はまた、この世を去る。

 早朝、委員の水やりのために登校している途中に、交通事故で。



 それでも空を千切る人間の後を追い、紫龍は再び彼女に近付いた。次の世界でも、また次の世界でも、何度も近付いて、ようやく気が付いた。

 彼女の笑顔にはいつも、どこか影があることに。いつの日か、彼女を心から笑顔にさせたいと思っていることに。



 けれど彼女は、やっぱり世界から消えていった。

 紫龍の願いを叶えぬままに――。


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