青い青い空
page.70 侵入者と緋龍、紫龍と翠龍
もう何度目かの飛行に慣れた様子の黒瀬雅は、「見当たんないわねえ」と呟いた。
至って平然としている様子に、彼女を背中に乗せていた劫火の龍――久賀野遼は尋ねた。「何も言わないままでいいのか」と。
「だって青崎ちゃん、会う度あたしの顔見て泣きそうだったじゃない」
「最後の別れくらいしてやれよ」
「いいのいいの。尻拭いは大抵あんたがしてくれるから」
「これが最後だと思うと俺も清々するけどな」
「馬鹿ね。これをきっかけに落ち込んでる青崎ちゃんを慰めてゲットしないと。弱ってる時が狙い目なんだから」
「完全に振られてるんだよこっちは」
「諦めるの」
「しつこい奴は嫌われるからな」
「ハッ。神様も大したことないのね」
「どういう意味だよ」
「男はみんな、そうやってかっこつけたがるのよ。小心者なのがバレたくないから」
「んだと?」
「やーい。小者小者~」
「振り落とすぞコラ」