青い青い空
閉店時間まで喫茶店で働いていた私は、帰って来るや否や、食事を摂らないまま風呂に直行した。飲食店特有の匂いをしっかりと落とすためだ。
頭のてっぺんから足の爪の先まで丁寧に洗ったら、今度はヘアパックをしている間に無駄毛処理。眉毛と顔の産毛も整えて洗い流したら、擦らないように泡でしっかり洗顔。
体を拭いたら今度は美容液がたっぷり入ったフェイスパックと、全身に保湿クリーム。洗い流さないトリートメントをして髪を乾かした後は、ヘアオイルを付けて……。
「今更努力したところで焼け石に水か」
至って平凡な顔へ、最後に以前福引きで当たった美顔ローラーでも使ってみれば、多少気は晴れるかも知れないと箱のビニールを開けようとしたところで、脱衣所の扉の向こうから声がかかる。
「おーい。飯はー」
「あ。た、食べます!」
開けかけた美顔ローラーは、そっと脱衣所の奥の棚へとしまっておいた。