ライバルがユーレイなんて聞いてない!
俺たちは順番にお線香を立て、仏壇に向かって手を合わせた。
それからお母さんがお茶を淹れてくれた。
「雷斗はね、塾に行っていた帰り道に車にはねられたの」
「そうだったんですか」
「いつもは迎えに行くんだけど、その日は弟が熱を出して病院に連れて行かなきゃいけなくて。遅くなっても迎えに行くと言ったのだけど、雷斗は一人でも大丈夫だよって言ったの」
お母さんはハンカチで目を押さえる。
「それが雷斗との最期の会話だった……」
『……』
雷斗は何も言わなかった。
うつむいて、何を思っているのかわからない。
「私があの日、迎えに行っていれば……っ」
両手で顔をおおってすすり泣くお母さん。
その後ろで「そうだった」という雷斗のつぶやきが聞こえた。
『……塾だ、塾に通ってたんだ。その帰り道に、オレは死んだんだ。塾で、オレは、ううっ……』
「雷斗!?」
お母さんがいる手前、反応しないようにしていたけど雷斗が頭をかかえて苦しみ出すから、思わず声をあげてしまった。
「えっ、雷斗?」
「あ、ちがうんです。その、雷斗くんの部屋を見せていただけないかなって」
とっさに八雲が機転を利かせてフォローしてくれた。