桜の咲くころ、思い出して

bloom4.)

「…ヨシノ」

『なんだ?』

「あ、いた!」

『いるだろ、そりゃ』

よかった、声聞こえた。
最近声が聞こえないことが何回かあったからちょっと心配になっちゃって。

「今日は帰ったら何する?」

『今から伊田と帰るんだろ、オレに話してないで話題でも考えてろ』

「…っ」

ホームルームが終わって伊田くんに一緒に帰ろうって言われた、その前に森木先生に呼ばれてるから待っててって。

「だって…っ、ドキドキしてしょうがないんだもん!」

みんなが帰った教室で窓の外を見ながら、少しでも心を落ち着かせたかった。

『だからシミュレーションしてみろって、つーか前にも帰ったことあるだろ?』

「あれは違うよ!だってこれは…っ」

付き合ってるんだもん、それはやっぱ違うじゃん!

全然違うじゃん!?

『何が違うんだよ?』

「いろいろ!ヨシノにはわかんないよ、複雑な乙女心なの!」

『……。』

あるんだもん、いろいろ。

上手く言えないけど気持ちが全然違うの、だって…っ

『そうだな、オレにはわからないよ』

ヨシノと、いつも通り話してるつもりだった。

それなのに私の方が突き放されたみたいだった、やたらと冷えた言葉に。

「違うの、そうじゃなくて今のはっ」

次の瞬間、ガラッと教室のドアが開いた。

その音にびっくりして目を見開いてドアの方を見てしまった。

「…川瀬ちゃん、どうかしたの?」
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