私の従者は…
そうして帰り際、ファミレスの駐車場に止まっている車を見て
「さすがお嬢様なんだな」
と驚いていた。
それもそのはずだ。ファミレスには似つかわしくない車が3台も止まっているのだから。
「慎太郎くんも乗ってみますか?家まで送っていきますよ」
「いや、俺は電車で帰るからいいや」
「電車…そうですか…」
「また明日。じゃあね」
「また」
「今日は希咲羅ちゃんも野井さんも会えて楽しかったです。ありがとうございました」
「こちらこそ楽しかったです。また大学で」
各々車に乗って帰宅する。
その車内。
(考えてみたら私、電車の乗った事ないのよね…もう大学生だし乗ってみたいわ)
「ねぇ伊織」
「なんでしょうか?」
「私、電車に乗ってみたいわ」
「電車に?」
「考えてみたら私、電車に乗った事がないわ。でも思ったの。もう大学生だし電車に乗って通学してみたいの」
「それは…だめです」
伊織は少し考えた後、そう言った。
「なぜ?」
「お嬢様は西園寺家のご令嬢です。その名に恥じない行動をしなければ。それに旦那様がお許しになりません」
「お父様には私が言うわ。とにかくもう決めたから」
その時。
「到着いたしました」
車のドアが開き急いで出ていく私を見て伊織が声を上げる。
「お嬢様!」
「しばらく1人にして」
それだけ残して自分の部屋へと早足で向かった。
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