n回目のリフレイン
「きゃ……!」
驚いた私はのけ反って。
重心が後ろに。
風景がスローモーションみたいに揺らいで。
「大丈夫!?」
「……」
あの子が私の腕をつかんでいた。
そのままなんの支えもなしに私を自分のほうへと引っぱる。
「あっ……」
鼻先が胸板に当たる。シャツ越しでも磯の香りがして、顔中に熱が集まった。
「ごめん、びっくりさせて」
彼は優しく手を離すと、一段下にある私の顔を確認した。黒目がちの瞳が真っ直ぐに射抜いてきて、とっさに返事ができなかった。
「……ありがとう」
うつむいた私の耳に小さな声が聞こえてくる。それが自分の声だと気づくまで、少し時間がかかった。
息をつく音が耳に届いた。呆れられてしまったかと心配になったけど、そうなってもしょうがないと下を向いた。
「どういたしまして」
彼の気にしてないと言いたげな柔らかい声がふった。