n回目のリフレイン



「読書感想文にしよう」

「いいよ、本は決めてるの?」


 民宿の食堂には本が何冊か置かれている。その中のどれかにしよう。


「四百字詰め原稿用紙で五枚以上ってわりとキツいよね」

「合計で二千字以上か……」

「先生もちゃんと読んだりしてないって、絶対」

「五枚くらいなら読んでるって」


 私たちは他愛もない会話をしながら、日陰を選んでゆっくりと歩く。

 セミの声に混じって波音が届き、単調な様子に足元のサンダルに目を落とした。


「攻略法はあるからまだ気持ちは楽」

「攻略法?」

「どうしてこの本を選んだのか、本の第一印象はどんなだったか、とか……書くことを一問一答形式にして、答えのほうをまとめるの」

「それなら二千字なんてすぐだね」

「矢島くんが教えてくれたんじゃない」


 私がそう言って笑おうとすると、こめかみに激痛が走った。

 鋭い針で刺されたような痛みが、両方のこめかみを中心に広がっていく。


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