n回目のリフレイン



 早いとこ「大丈夫だからおろして」って言わないと……!


 でももう少しだけ甘えさせてもらって……。


 心の中で、「おりないと」と「もうちょっと」がシーソーみたいにグラグラ揺れる。こっちに傾いたかと思ったら、あっちが重くなってをくり返して。


「着いたよ」

「……ありがとう、ここからは自分で行けるから」


 ……そして、とうとう民宿まで着いてしまった……。


 民宿まで数メートルのところでおろしてもらう。お祖父ちゃんやお祖母ちゃんに見られたら恥ずかしいのを見透かされたようで、めちゃくちゃいたたまれない。


「お祖母ちゃん、ただいま」


 食堂の勝手口に回って声をかける。洗い物をしていたお祖母ちゃんは前かけで手をぬぐうと、「お帰りなさい、顔真っ赤よ」とびっくりしていた。


「秋山さん、こんにちは」

「あら真行くん、いらっしゃい」

「お祖母ちゃん、矢島くんに麦茶あげて」


 矢島くんが断る前に、「具合悪くなった私のこと連れてきてくれたんだ」と続けた。


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