Jully〜あなたと夢を〜

一歩一歩その人影に近付くにつれ、その後ろ姿が大きく見えてくるにつれ、徐々に早足になる。


キュッキュッと雪を踏む音も、俺の心拍数も近付くにつれて早まる。ついには息を切らし、その人の後ろに立った。


はぁ…はぁ…


息を切らし、あの場所でただ立っている女性をぼーっと眺める。
その人の手にはマルメンライト。



「朱美…さん…?」



恐る恐る、後ろから声をかける。2人以外誰も居ない駅前、大きな時計が0時を指しボーンボーンと音を発てる。


その音が止むのを待って、ゆっくりと女性は俺の方に振り向いた………。






「ごめんなさい……そして………ただいまトナカイさん!」



そう言った後どちらかともなく走り出し、俺は泣いている朱美さんを強く強く抱き締めた……。



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