【完】きみは硝子のゼラニウム
尋くんに連れて行かれるがまま、焼きそばを食べて、クレープを食べて、気になった出店をいくつも回って、気づけばお腹はすっかり満腹だった。
楽しくて、時間があっという間で、さっきまでの緊張なんてどこかに消えていた。
「ちょっと休むかー。中入ってもいいんだけど、変な奴につかまりたくないしな」
中庭の隅、少し影になっている場所に移動して、尋くんがスマホで時間を確認しながらぼそっと言う。
変な奴…?
尋くんにとっての“変な奴”って、どんな人なんだろう。全然想像がつかない。
だって尋くんは、誰とでも自然に話せそうだし、実際すごく目立つし、きっと女の子からもモテるはずだ。
今だって、さっきからチラチラと向けられる視線が気になる。
明らかに尋くんを見ている視線。その中に混ざっている、「隣にいるの誰?」みたいな空気。
一緒にいる私としては、正直かなり居心地が悪い。場違いなんじゃないかって、勝手に思ってしまう。
でも、当の本人はまったく気にしていない様子で、平然と隣に立っている。
尋くんの隣にいるのが、私なんかでごめんなさい。