猫はどこへ行ったのか
あまり大きな声じゃ言えないけど、私のうちは貧乏だ。
少し前までは、そうでもなかったんだよ。けど、パパが会社をリストラされて、それ以来わが家は毎日の食事にだって困ってる。
大好きだったお肉も、もう長い間食べてない。

困っているのは人間だけじゃなく、猫だってそう。
うちではココっていう焦げ茶色の毛並みの猫を飼ってるんだけど、そんなココのご飯も、前と比べて減ってしまった。
それどころか、パパとママはココを誰か別の人にあげないかって話をしていたけど、私が猛反対して止めたの。
だって、ココは私たちの大事な家族。いくら貧乏でも、家族と離れ離れになるなんて嫌だもん。

だけどある日、私が学校から帰ってきたら、ココがいなくなってたの。
名前を呼んでも、パパやママと一緒に家中探しても、どこにもいない。
そうしているうちに、外に出て行ったんじゃないかって、パパが言いだした。

家の外に出て迷子になってたら、二度と帰ってこれないかもしれない。
慌てて外に出て探したけど、それでもココは見つからなくて、ついに私は泣き出してしまった。
ココがいなくなるなんて、そんなの嫌!

目が腫れるくらい泣いたけど、パパとママは、そんな私に優しい言葉をかけて慰めてくれた。
それに、少しでも元気になってくれたらと思ったのかな。その日の晩御飯は、滅多に食べることの無くなったお肉が出てきた。
たくさん泣いて喉が痛くなったせいか、少し変わった味がしたけど、パパとママの優しさが嬉しかった。

ココ。みんな君の帰りを待ってるよ。
だから、早く帰ってきてね。


【解説】

ココは家から出ていったのではなく、ココの食費に悩む両親に殺されてしまった。
そして、この日の夜に出されたお肉は、死んだココのものだった。
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