花屋のガーデニング委員会!
終.空くんと私、二人の決意

翌日。私は少しだけ早起きをしていた。

「今日から水やりだ。頑張るぞー!」

今日はガーデニング委員会はじめての仕事! はりきりすぎて早起しちゃった!

「待って心春。俺も一緒に行く」

玄関を出ようとした時、空くんから声を掛けられる。なんと空くん、私に合わせて出る準備をしておいてくれたらしい。

「い、いいよ! わざわざ悪いもん」
「俺がついていきたいからいいんだよ」

ニッと笑みを浮かべる空くん。細くなった栗色の瞳のなかに、戸惑いながらも嬉しがる私が写っている。

「もう準備出来たか?」
「うんっ」
「じゃあ行くか」

頭をポンッとなでられた。なんだか昨日から、空くんのコミュニケーションに拍車がかかっている気がする。空くんの雰囲気が違うというか。

「今日は日向もくるんだろ?」
「昨日当番表を見て確認していたし、たぶん来てくれると思う」
「ふぅん……」

ちょっと口をとがらせた空くんが、ポツリとこぼす。

「俺は心春と二人きりでも構わないけどな」
「え……えぇ⁉」

そんなことを言うなんて、空くんどうしちゃったの!

「空くん、熱でもある?」
「ないけど?」

ムッとした顔で返された。見た目も元気そうだし、確かに熱じゃなさそう。じゃあさっきの言葉は空くんの本心? 私と二人きりがいいと思ってくれているの?

「……っ」

カッと顔に熱が溜まると同時に、後ろから肩を叩かれる。

「心春、はよ~……」
「日向くん、来てくれたんだ! ふふ、すごく眠そうだね」
「んー……いま抱き枕があったら立ってでも寝られる自信あるな」
「またまた~」

だけど日向くんは「本気だぞ」とムッとした。次に私の頬へ、長い手を伸ばす。

「ここで寝られるか、やってみるか?」
「え、もしかして……」

抱き枕って、私⁉

「す、ストップ~!」

両手で日向くんを止めようとした、その時。
 ガシッ

「おい、心春に近づくな」

私たちの異変に気付き、間に入ってくれた空くん。彼を見た瞬間、日向くんは鬼の形相へと変わる。銀髪の髪が風に揺れ、ライオンのたてがみに見えるよ! すると空くんが、私の腰をグイッと抱き寄せる。

「心春に触れていいのは俺だけだ」
「あぁ?」

ひぇ、ここにきて空気のピリピリ具合が最高潮になっちゃったよ! 日光を受け、日向くんのピアスがキラリと光る。迫力満点だ……! だけど空くんは怯まなかった。逃げることも後ずさることもせず、黙って日向くんを見つめ返す。一向に譲らない空くんを見て、日向くんは「ふぅん」と腕を組み直した。

「昨日とはツラ構えが違うな。なんだよ、やっとヤル気だしたわけ?」
「覚悟を決めたんだ。俺はどんな時でも心春の隣にいるって」
「遠縁なのにか? わざわざしんどい方を選ばなくてもいいんだぜ?」
「何を言われても俺の覚悟は変わらない。俺はずっと心春の隣にいる」
「へぇ……」

二人の会話を聞くも、私はちんぷんかんぷん。主語がないから、何の話をしているのかさっぱり分からないよ。でもバチバチした空気は消えたみたい。一気に脱力した日向くんが「その覚悟に免じて今は引いてやるよ」と、この場から去った。

「心春、俺ジョウロとってくるわ」
「え、私も行くよ!」
「いらねー」

振り返らないまま、日向くんは行ってしまった。ジョウロの場所が分かるか不安で、後を追おうとした。だけど、

「私も行かなきゃ、わぅ⁉」

足に力を入れた途端、前の人にぶつかってしまう。振り向くと、そこにいたのはメガネをかけた桐生先輩!
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