迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
毎年この時期はランドレイス家の古城で舞踏会が開かれる。
ミリーネもアーネストの婚約者として花を添えていた。
今年は公爵が床に伏せっているため、アーネストが主体で動かなければならず、仕事の合間に招待状リストの作成や、飾りつけの打ち合わせを行っていた。
ミリーネも積極的に手伝おうと手を挙げたが「君は精霊師の仕事が忙しいから迷惑はかけられない」と断られてしまった。
だからエリンジャー家の者と舞踏会の打ち合わせをすると聞かされて、面白くないのもある。自分はダメで、どうしてエリンジャー家の者なら良いのだろう。
将来伴侶となるミリーネよりも竜王陛下の忠臣という部分だけが同じエリンジャー家とでは信頼関係が雲泥の差ではないだろうか。
アーネストの相変わらずな態度にミリーネは懊悩した。
「はあ。気晴らしに買い物をしたいけど、できそうにないから町でも散策してストレスを発散するしかなさそうね」
確かこの辺りの町では、お祭りが開催されていたはずだ。
(たまには平民の祭りを見物するのもいいかもしれない)
ミリーネは前の窓を叩いて御者に行き先の変更を伝え、町へと繰り出した。
祭りの会場近くで下ろしてもらったミリーネは、少し離れたところから聞こえて来る音楽に耳を傾ける。広場の中央では、うら若い男女が楽しげにダンスを踊っていた。