迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
「……前にフィーから僅かに魔力を感じると言ったが、あれは精霊の祝福を受けているからのようだ」
シドリウスは精霊の祝福について、遠い記憶を辿る。
精霊という生き物は気まぐれで、たいていは祝福しない。しかし、ごく稀に魔力の波長が合えば、精霊から一方的に祝福を受けられるのだ。
フィリーネにはその素質があったのだろう。
「精霊の祝福って具体的にどんなものなんですか? 人間は精霊と契約する際、こちらから魔力を放出して精霊を呼び出し、気に入ってもらえたら契約を結びます」
「祝福を受けた者は一方的に守護され、ちょっとした魔法が授けられる。俺は、フィーが生まれても見つけられなかった。恐らくそれは、精霊が守護の魔法で彼女の存在を隠していたんだろう」
これはシドリウスの憶測だが、フィリーネは生まれてすぐに精霊から祝福を受けたのだろう。竜人は運命の番が生まれてから一年後にその存在を感じ取って見つけ出す。
空白の期間の間に祝福されたフィリーネは、精霊の守護の魔法によって守られた。その結果、シドリウスが存在を感知できなくなったのだ。
ヒュドーは口元に手を当て、考える素振りを見せる。
「なるほど。それはあながち間違いではない話ですね。じゃあフィリーネ様はどの精霊から祝福を受けたのですか?」
「フィーが屋敷に来てから、闇の精霊をよく目撃するようになった。フィーに祝福を与えたのはそれだと思う」
「えっ、闇の精霊って存在するんですか!?」