【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズシーモア先行連載中】

30 幸せ

 ゴトフリーの友人たちとアリスがこまめに相談するようになってから、彼の抱えていた不安は目に見えて減ってきた。

 例えば、アリスが普段思っていることを、親しい友人の誰かから、その人の意見を交えて間接的に聞いたりすることによって、彼女から直接聞くよりも違う受け止め方も出来るようになってきたらしい。

 本来のゴトフリーは自分のしたいことを押し殺してでも、周囲の人を大事にすることを優先する、そんな優しい人なのだ。

 けれど、過去の悲しかった出来事や、すぐには受け止めきれないほどの手酷い裏切りにあって、暴走してしまう感情を嫌悪しながらも持て余していた。

 そういうつらい葛藤が減ってきたから、心の中が段々と安定してきたようなのだ。

(良かった。私と離れている時は、皆にも気を掛けて貰えるようになったから、だいぶ楽になってきたみたいなんだよね)

 遠征などでアリスと離れている時には、誰かに取られはしないかと心配で堪らなかったようなのだが、それが客観的に見てどれがどれだけ無用な心配かを現地で何度も言い聞かせてもらっているらしい。

 根気の要る作業にも彼らは面倒がることもなく、アリスの希望通りに動いてくれた。

 最近は、穏やかな表情が増えてきた恋人の姿を見るたび、自分が今している努力の方向を間違っていないということを実感する。

「ん? どうしたの?」

 横顔をじっと見つめていたアリスに気が付いたゴトフリーは、彼女へ優しく問いかけた。

 二人の休みが久々に合ったので、付き合う前に連れて来てもらったことのある森の中にある美しい湖にやって来たのだ。

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