ずっと君だけ
時は遡る。

20xx年、冬。
小学校生活最後のクリスマスを迎えていた。


「メリークリスマス!!」

クラスのみんなの顔が写る。
大の親友である佐藤理彩ちゃん。私の初めての友達で、一番の親友だ。


理彩ちゃんは、いつも優しい。けれど、親を早くに亡くし、兄である「陸人さん」と2人きりで暮らしている。

そのことの影響なのか、理彩ちゃんはおとなしくて自分のことをあまり言わない性格になった。
だから、いつもいじめられやすくて、いわゆる"一軍"の女子たちにずっと絡まれていた。

かばってからは、私もいじめられるようになった。でも、全然平気だった。気になんてしない。理彩ちゃんのためなら何だってする。そんなことを私は心に決めていた。

6年生になった今もいじめは続いているけれど、理彩ちゃんと遊ぶ時間は楽しい。いつだって理彩ちゃんといれば、どんなつらいことも忘れられた。理彩ちゃんがいれば何とでもなる気がしていた。


考えていれば時間は過ぎる。

どこからともなく男の人が現れて、大きな3段ケーキを持ってきてくれた。
まるで、アニメで見る"執事"だ。

本当にすごい。

「いちかちゃんち、ほんとうにすごい」


『お嬢様』であるクラスメイト・西条一花ちゃん。漫画で言う高嶺の花で、名前がぴったりだと言われている。ザ・一軍という漢字で、刃向かう子なんて一人もいない。

そんな西条さんの取り巻きである女の子がそういった。

「えぇ、そんなことないよぅ。ふつうだってぇ。ふつうじゃないひとがいるだけでしょぉ?」

にやりと笑った顔に私は嫌気がさした。

そう。西条さんこそ、理彩ちゃんをいじめている真犯人なんだ。

なんて、名探偵みたいに言っているけれど、そんな良い物ではない。
理彩ちゃんは悪くない。ただ、『シセツノコ』だから。それだけで――――――。

私にはずっと考えてしまう癖があるらしい。もうすでにケーキが切り分けられていた。

大人数だから、それほどの量というわけでもない。でも、少ないというわけでもない。ちょうど良い。
でも、理彩ちゃんのだけ明らかに少なかった。

周りも気づいている人がいるようだが、だれも助けようとしていない。
ばれないように、理彩ちゃんの様子をうかがっていた。

これは、卑怯だ。ずる賢い。
けれど、文句なんて言えない。

なぜなら、、これは『お嬢様の西条さん』が企画した、西条家全持ちのパーティーだ。
どんなことをしたって、西条さんの自由なのだ。

キラキラと銀色に輝くフォークを手に取って、目立たないようにケーキを口に運ぶ。

刻々と過ぎる時間。
うるさいとさえ感じる笑い声。

相変わらず、理彩ちゃんはうつむいていた。


「あらぁ?さとうさん、たべないのぉ?せっかくよういしたのに.....。」

佐藤。理彩ちゃんの名字だ。


「いちかちゃん、なかないで...」
「さとうさん、ほんとひどい。」
「せっかくよういしてくれてるのに...」
「なにさまのつもり?シセツノコが!」


心ない言葉が飛び交う。
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

君がくれたチャンスを  絶対に逃さない
柚樹/著

総文字数/6,317

恋愛(その他)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
中学三年生の山崎ことはは、歌い手「スペースハート」のReinaちゃんが大好き。小・中学生生活すべてを注いで応援した。そんな中スペースハートが設立した会社、株式会社スペースハートは新人新人オーディションをすると発表。ことはは、今まで抱いていた夢「歌い手として活動する」について、決着を付けるために、オーディションに応募した。書類審査を通過し、第一次審査も通過。第二次審査の説明を待つため、控え室で休んでいた。そんなときであった男の子は、ある秘密があって・・・? 秘密から始まる、青春ラブストーリー開幕!
柚樹の短編小説集
柚樹/著

総文字数/2,850

恋愛(その他)3ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
柚樹(ゆき)の描く、少し怖いかったり、びっくりしたりする、短編小説集です。1P一本となっています。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop