追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「駄目、でしょうか……?」

 これまでにこやかに口元を綻ばせていたが、彼がいつまで経っても許可をしてくれないためだんだん不安になってきた。
 ラシリネは金色の瞳を潤ませ、陛下の顔色を窺う。

「好きにしろ」

 ダリウスは紫色の瞳を苛立たしげに細めると、こちらに向かってぶっきらぼうに吐き捨てる。
 その後、勢いよくマントを翻してその場をあとにしてしまった。

「わふ?」

 事の成り行きを見守っていたスノーエルは、「あいつはなんでこんなに怒ってんだ?」と不思議そうにしている。

 聖女はそんな神獣を抱きしめ、白くてもふもふとした胴体に顔を埋めた。

「大好きな人に苛立たしげな視線を向けられるのって、思っている以上につらいのね……」

 自分でも、思っている以上に傷ついている。
 そんな己の心を癒やすべく、ゆっくりと目を閉じた。
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