第一部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
ロベルト先輩も、あの光景を思い出しているのだろうか。
俺は、あえて明るい声を出した。
「そういえば最近、第2騎士団との交流、増えましたよね!」
孤児院のボランティア以降、
挨拶を交わしたり、見回りが重なることも多くなった。
「ああ。ボランティアのときにな―」
ロベルト先輩は、少し目を細める。
「お嬢様は、誰に対しても平等だった。
第2騎士団の連中も、それを感じたんだろう」
「なるほど……だから自然に打ち解けられたんですね」
「お嬢様の影響力って、すごいな……」
「ほんとだよ」
ロベルト先輩は頷いた。
「あの人が笑顔で団員を見てくれるだけで、士気が変わる」
孤児院では確かに問題も起きた。
だが、それを口に出す者はいない。
――うまくいけば、第2騎士団と第3騎士団の間にある壁も、
いつかなくなるかもしれない。
そうなればいい。
心から、そう思った。