第一部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

ふと宝石の光が強まる嫌な気配を感じた。
周囲の様子を伺う。
どこだ?

黒いモヤが見える。見つけた!
ぬいぐるみから出てる?

ぬいぐるみを持つミヤの呼吸が浅くなり、視線が揺れた。

「わたし……いらない……?」

その瞬間、空気が歪んだ。
不安と自己否定が、宝石を媒介に膨れ上がり、感情が暴走しかける。

「トワ下がって」

トワを自分の背後に隠れさせる。

「ミヤ!」

私は駆け寄り、ミヤの前に膝をついた。黒いモヤが私を遠ざけようとピリピリとした刺激を与える。
剣に手をかける寸前で、静かに息を整えた。

剣はダメだ。ここには子供達もいる、力を使うには人が多すぎる。
巻き込めない。
それにミヤと宝石が近すぎる、これでは万が一剣が逸れたりしたら大惨事になってしまう。
エマの時みたいに、宝石を引き剥がすのは難しそうだ。

騎士団達が様子を聞きつけて何人か集まってきた。

「お嬢様!」

テオが剣を抜いてこっちにやってこようとするのが見える。

「ダメ、テオ来ないで」

ピシャリと言い放つ私にテオがピタリと止まる。
後ろからアレンとロベルトも剣をもって参戦しょうとする姿が見え、それをテオがさっと止める。
それを確認してから私はミヤに目を向ける。
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