本当の私を知られたら終わる恋だと思っていたのに、彼の溺愛が止まりません

和木坂課長は私より五つ歳上の三十二歳、そして独身。

和木坂課長の属する徴収課の仕事は、保険料の納期を過ぎている会社に納付を促す、言ってみれば汚れ仕事だ。机の上には分厚いファイルが山積みになっていて、その激務ぶりが手に取るようわかる。

いまもきっと保険料滞納事業所の担当者に、根気強く指導しているのだろう。仕事中はその端正な顔を無表情のベールで包んでいて、自分にも他人にも厳しいけれど、人望があるから事務所内の誰からも慕われている。

仕事が出来る上に、スーツ姿が映えるイケメンだから、女子職員のファンも多い。
ランチタイムの休憩室では、必ずと言っていいほど和木坂課長の名前が出てくる。

「今日の和木坂課長の前髪をかきあげる仕草、セクシーだったよね。」
「クレーム対応に毅然として向かい合う姿、格好良かった!」
「スラリとして細身だけど、腕の筋肉はすごいよねっ。」

話の輪には入れないけれど、その会話に私も心で頷いている。

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