本当の私を知られたら終わる恋だと思っていたのに、彼の溺愛が止まりません
あれは私が庶務課に異動したばかりで、大事なデータファイルを消してしまったと勘違いした時のこと。最終的には大事に至らずホッとしたけれど、周りを騒がせてしまい、ものすごく落ち込んでいた。
事務所の近くの小さな児童公園で、一人ぼんやりお弁当を食べていたら、突然頬に温かいものが押し付けられた。
「ひゃっ!」
振り向くと和木坂課長がペットボトルのミルクティーを持って、にやりと微笑んでいた。
「こんな所で弁当か?」
「は、はい・・・」
やはりいつものように言葉が咄嗟に出てこなくて、心臓がどきんと音を立てた。
和木坂課長と個人的に話すのは、その時が初めてだった。
恐ろしく仕事に厳しい人だという認識しかしていなかったから、きっと何か叱られるのではと内心びくびくしていた。