第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
「――失礼いたします」
扉が控えめに開く。
花瓶を抱えたユウリが、いつもの落ち着いた足取りで入って――
「……っ」
私の姿を認めた瞬間、動きが止まった。
「……お、」
花瓶が、ぐらり。
「お嬢さま……?」
腕がわずかに震える。
「……目を、覚ま――」
言葉の途中で、さらにぐらり。
「……っ、あっ」
「ユウリ!」
ディランが声を上げる。
慌てて花瓶を抱え直し、ユウリは一歩よろけた。
水がちゃぷんと揺れ、花が傾く。
「し、失礼……!」
何とか机に花瓶を置き、両手で押さえ込む。
しばらくそのまま固まったあと――
「……」
深く、息を吸った。
そしてゆっくり顔を上げる。
「……本当に……」
かすかに、声が震えていた。
「目覚めたのですね…」
「うん……心配かけたね」
そう言うと、ユウリは困ったように、でもやさしく微笑んだ。
「いえ……」
「心配していましたがお嬢様の顔を見れて―」
いつもの完璧な執事の表情に戻そうとして、戻りきらない。
「……少し動揺してしまいましたね」
そう言いながらも、その目は少し潤んでいた。
ディランが小さく息を吐く。
扉が控えめに開く。
花瓶を抱えたユウリが、いつもの落ち着いた足取りで入って――
「……っ」
私の姿を認めた瞬間、動きが止まった。
「……お、」
花瓶が、ぐらり。
「お嬢さま……?」
腕がわずかに震える。
「……目を、覚ま――」
言葉の途中で、さらにぐらり。
「……っ、あっ」
「ユウリ!」
ディランが声を上げる。
慌てて花瓶を抱え直し、ユウリは一歩よろけた。
水がちゃぷんと揺れ、花が傾く。
「し、失礼……!」
何とか机に花瓶を置き、両手で押さえ込む。
しばらくそのまま固まったあと――
「……」
深く、息を吸った。
そしてゆっくり顔を上げる。
「……本当に……」
かすかに、声が震えていた。
「目覚めたのですね…」
「うん……心配かけたね」
そう言うと、ユウリは困ったように、でもやさしく微笑んだ。
「いえ……」
「心配していましたがお嬢様の顔を見れて―」
いつもの完璧な執事の表情に戻そうとして、戻りきらない。
「……少し動揺してしまいましたね」
そう言いながらも、その目は少し潤んでいた。
ディランが小さく息を吐く。