第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
ルイは楽しそうに微笑みながら頷いた。

「命を懸けてでも守りたい人が増えていくタイプね、ティアナちゃんは」

「……それ、褒めてる?」

「もちろん」

「でも――」

ふっと表情を和らげる。

「だからこそ、あなたは一人で立たなくていいのよ」

その言葉に、胸の奥が静かに揺れた。

「支えたい人がいるなら、
支えられる人がいてもいいでしょう?」

アリスも小さく頷く。

「お嬢様は、守られることをもっと覚えるべきです」

「……難しいな」

そう呟くと、2人は顔を見合わせて微笑んだ。

「大丈夫」

「私たちが、逃がしませんから」

「え?」

冗談めかした口調なのに、妙に本気で。


ルイは、ふと手をとめる。

廊下の奥――
ごく微かな、けれど確かに覚えのある気配。

「……あら」

小さく微笑むと、何も言わず私から離れた。

「少し席を外すわね」

そう言って、ルイはアリスと顔を見合わせて扉の外へと出ていく。
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