第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
光が爆ぜる。

「変転の光よ――
我が意志に従え、アレキサンドライト」

ディランの声が、戦場全体に響いた。

光は剣だけでなく、彼自身を包み込み、
背後に巨大な光の紋章が展開される。

「ティアナ」

彼は振り返る。

その瞳に宿る色は、
迷いを越えた証のように、
エメラルドからルビーへと移ろっていた。

「君に背を預けるのは……意外と頼もしいな」

「そんな悠長なこと言ってないでください!」

私は即座に言い返す。

「敵、まだ増えてます!」

「はは……確かに」

ディランは笑い、剣を構え直した。

「では――一気に行こう」

蒼と光が、同時に走る。

蒼い暴風と、白金の光の奔流。
2つの魔力が交差し、共鳴し――

敵の群れを、まとめて飲み込んだ。

爆風が収まったとき。
広間の半分が、更地になっていた。

それでも。

紅血生成炉は、なおも脈動を続けている。

ガイルは、狂気の笑みを浮かべた。

「素晴らしい……!
だが、ようやく条件が揃った――」

その視線が、私へと突き刺さる。

「君の血が、反応しているぞ。
魔女セイレーンの――器よ」

胸の奥が、熱く疼いた。

ラピスラズリが、かすかに震える。

次の瞬間、
ディランが迷いなく、私の前へ出た。

「彼女には、指一本触れさせない」

その背中は――
もはや剣ではなく、光そのものだった。
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