【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 戦勝の記念に褒美をというイクエイアスの申し出も(思いついたらね)と、濁していた赤い竜が願ったのは、人化の魔法を使えるようになることだった。

(ワーウィック……そうは言っても、あれは体に負担がかかってしまう。いくら能力も高く優秀だとは言え、成竜になったばかりのお前にはまだ早い。使いこなせないだろう)

 イクエイアスは、ワーウィックに人化の魔法を授けることに難色を示していた。

(そのまま……断ってくれないかな)

 リカルドは神妙な顔を崩さないままに、内心そう思っていた。

 甘え上手なワーウィックのことだ。人化出来るようになれば、お気に入りのスイレンの傍に入り浸るのは目に見えていた。

 これからスイレンとの時間を大切にしたいと考えているリカルドには、邪魔以外何物でもない。

(僕は、使いこなせるよ。イクエイアス! お願いだから、人化したいんだ!)

 繰り返される真っ直ぐなお願いに、ついにイクエイアスは折れた。どんな説得を試みても、諦めないワーウィックに根負けしたとも言う。

 何度か人化の魔法を練習していると、もう日は暮れていた。

< 307 / 340 >

この作品をシェア

pagetop