青春×6

笑い声の始まり

星愛かおると話すようになってから、
私の中学校生活は少しずつ明るくなった。

休み時間になるたびに振り返ると、
後ろにはメガネ越しにニヤっと笑うかおるがいる。

「今日ペンケース元気?」

「さっき国語で感動して泣いてた。」

「感情あるの!?」

くだらないことで笑える時間が、
こんなに安心するなんて思わなかった。

そんなある日。

クラスで自然と中心にいる男子がいた。

加戸真。

入学前の模試でトップだったらしい、って噂は聞いていた。

“すごい人”のはずなのに。

普通に笑って、
普通に話して、
誰とでも自然に打ち解けている。

それが、なんだか不思議だった。

なんか……余裕がある。

目立とうとしてないのに、
気づくと目で追ってしまう。

「めい、さっきから見てる。」

後ろから、かおるの小声。

「見てないし。」

「見てる。」

図星だった。

首席って聞いたときよりも、
みんなと同じ目線で笑ってる姿のほうが、ずっと気になった。

なんでだろう。

ただ、ちょっと——

興味が湧いただけ。

その“ちょっと”が、
あとでこんなに大きくなるなんて。

このときの私は、まだ知らなかった。
< 2 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop